士業グループを、経営に届ける。──法務専門から、経営基盤コンサルティングへ

目次

士業グループを、経営に届ける。──法務専門から、経営基盤コンサルティングへ


Authense Consulting株式会社は、法務部門の課題解決に特化したコンサルティングファームでしたが、支援する領域は大きく広がっています。法務/ガバナンスに加えて、財務/管理会計、人事/組織、業務/IT基盤。M&A後の統合(PMI)、IPO準備、事業承継といった局面で、企業の経営基盤そのものを整備するコンサルティングファームへ進化しました。

なぜ領域を広げたのか。何が変わり、何を変えていないのか。そして今、どんな仲間を求めているのか。あらためて執行役員兼コンサルティング事業部長の秋枝に話を聞きました。 

執行役員兼コンサルティング事業部長
秋枝 克実(Katsumi Akieda)

SIerでシステム開発業務および業務プロセスの再構築等のITコンサルティングに従事。その後、外資コンサルティングファームを経て、電通グループにてマーケティング領域の企画・構想、実行支援および新規サービスの構想・計画からリリース、サービスの利用拡大までの全てのフェーズを幅広く支援。新規事業や新たなデジタルサービスを提供するために法務関連の課題解決の必要性を痛感。2024年8月から現職、企業の法務領域の課題解決を通じて企業価値の毀損を防ぐだけではなく、企業価値の向上を支援するためにコンサルティングサービスを責任者として担当。

 <メディア>
・ 二兎を追って三兎も得る!?「デジタルサービス開発×業務効率化」の話
・ マイクロソフト「Copilot」の衝撃 生成AI時代のマーケティング
・ 電通報 2023/04/14, https://dentsu-ho.com/articles/8535
・ 日経BP, 第3章

課題は、法務だけではなかった

――元々Authense Consultingは法務領域の支援が中心でしたよね。 

そうです。前職では新規事業の構想から実施まで幅広く携わっていて、企業や消費者の課題を解決して社会に新しい価値を出すことに、大きなやりがいを感じていました。でも、いざサービスの具体を検討しようとすると、現在のルール(法律や、規制、業界のルールや社内の基準)の壁にぶつかる。だからこそ法務部門が果たす役割は重要で、法務がパートナー機能を発揮しやすい環境をつくりたいと考え、Authense Consultingでの初期の支援領域を法務と定めていました。 

――その認識のような変化がありましたか 

実際にやってみて分かったのは、課題は法務だけではなかったということです。 

現在、あるPEファンドの支援をさせていただいています。投資先の会社はフェーズが本当にさまざまで、立ち上げたばかりで法務担当が誰もいない、という会社もある。必要最低限の規程しか存在しないという会社もあります。法務にとどまらず、経理や労務の体制が整っていないケースも少なくありません。 

上場を見据えるなら、そこは整えていかないといけない。現在そういったご支援を多数行っています。 

当初は、法務がパートナー機能を果たせれば十分だと考えていました。ですが、様々な会社を支援する中で、法務だけを整えても会社全体の基盤が伴っていなければ意味がないと痛感し、今では、法務・経理・人事・IT基盤を含めた経営基盤全体を整えることこそが、会社の成長を支える一番の土台だと考えるようになりました。 

――支援のきっかけは法務ですか 

そうです。きっかけは法律事務所からの紹介だったので、最初は法務の話でした。例えば会社の規程を整えるとなると、当然、人事労務の規程も見直したいという話が出てくる。そこから社会保険労務士にその領域はお願いする。そうやってつながっていったんです。 

新たに支援が必要な領域が明らかになってきた。アンテナが立つようになった、という感覚に近いですね。これに困っているならこうですよね、こんなことにも困りそうですよね、とこちらから言えるようになった。 
 

Authense Consulting が解決する課題 

――現在解決している課題を、具体的に挙げていただけますか。 

たとえば、会計の月次処理が理想的なタイミングで締まっていない会社があります。年度を締めて蓋を開けてみたら、「あれ、全然赤字だったね」と。そうならないように毎月数字を締めて、今の経営はこうなっている、じゃあこういう施策を打とう、という話ができる状態にする。当たり前の話ですが、こういった「整備」も事業立上げ当初だと管理部門が整っておらず現状では支援が行き届いていない領域だと思っています。 

契約の話でも、検収基準をきちんと定めずに検収が月ずれを起こしていたり、支払いを当初予定したタイミングで依頼できなかったり、逆に払っていなかったり。取引先のひな形契約書の内容から全く交渉せずに自社にとっては不利な契約を盲目的に締結する。そういうことは、実は意外と発生しています。 

――放っておくと何が起きますか。 

これから事業承継は確実に増えていきます。そのとき管理面が整っていないと、自社の価値を正しく評価されず望ましい条件で譲渡することもできない。譲渡するか否かの検討以前に、未整備なままで誰かに引き継いでもらうわけにもいかないですよね。だから経営基盤の整備は、自ずと必要になってくると考えています。 
 

士業グループの専門家と組むということ 

――グループに専門家が揃っていることの価値を、実際にあった話で教えてください。 

知財の例が一番わかりやすいと思います。海外での商標の保護戦略を描いた案件がありました。海外案件は特に弁理士の仕事が膨大です。そのため、どうしてもオペレーション周りが中心になりがちです。商標を出願する、書類を出す。そういった現場での業務にリソースは集中投下されます。すると何が起きるか。 

――経営側の戦略と、現場の不整合が起きる? 

そうです。経営・事業戦略的に海外展開の方針が定まっていても、現場にどこまで落とし込めているのかという部分が課題になります。例えば国内と同じブランド名で海外展開を強化する場合、海外で自社ブランドがそのまま使えるよう商標を事業展開に先行して取得していく必要があります。海外商標をどのタイミングで、どの内容で、どのような手段で商標を取得していくか。そしてそのためには予算が要るので、毎年の予算編成会議でこういう予算を確保してください、という話まで持っていく必要がある。 

知財の専門性と経営戦略を結びつけて足元の打ち手に落とし込んでいくプロセスは、様々な要因が絡み合うため、弁理士だけで完結させるのは構造的に難しい場面があると思います。一般的な弁理士事務所だと、どうしても個別対応にとどまってしまうことも多くあります 

その案件では我々弁理士と共同で支援することで、経営・事業戦略と整合性の取れた知財ポートフォリオの設計まで踏み込みました。何を出願して、何を維持していくのか。そこまで整理させていただきました。 

現場の話だけで終わらせず、経営視点までレイヤーを上げた話ができる。これは私たちが支援するからこそだと思っています。 

――なるほど。何だかブリッジ役というような印象ですね。 

感覚としては、グループをまとめる紐帯(ちゅうたい)に近いです。それぞれの専門性をまとめるサポートをする役割です。 

クライアントの課題は、そもそも士業の領域ごとに分かれてはいません。それを一旦こちらで引き受けて、解くべき問題を明らかにし各士業に何をお願いするべきか整理にクライアントと一緒に課題に対応していくハブ役です。 

――クライアントからは、この体制はどう見えていると思いますか。 

士業の方と直接お話しする際、言葉や視点の違いから、コミュニケーションに少しハードルを感じることがあります。「先生」という関係性ゆえに、分からない点があっても聞き返しにくく、そのまま進んでしまうことで、次第にすれ違いが生まれてしまうケースもあるように思います。私たちはグループ内部のコンサルティングファームなので、各士業の方たちとのグループとしての共通意識や柔軟に意思疎通ができる点があります。そのうえで、咀嚼した内容をクライアントにお渡しできる。ここには一定の価値があると思っていますし、実際にご支援した企業様からもそう言っていただいています。 

――他のファームと比較検討される中で、選ばれる理由はどこにありそうですか。 

事業会社の現実を理解している、というところかもしれません。 

グループの代表は弁護士ドットコムという事業会社の社長を務めていますし、私たち自身がまさに今、新規事業をやっている。だから、どちらかというと事業サイドに明るいという印象を持たれやすいのかなと。 

管理部門の話ではありますが、ただ厳密に整えるということではなくて、事業サイドを理解したうえで課題を紐解き打ち手を考えていく。ストッパー役ではなくて、一緒にどう事業を成長していけるか、という視点を持っている。そう見ていただけているのだとしたら、嬉しいですね。 

領域を広げるうえでの難所 

――今、一番の難所はどこですか。 

クライアント側も、組織が縦割りであること多いということです。 

現場の方が「ここが課題だ」とおっしゃっていることの中には、その部署だけで解決できるものもあれば、複数の部署に横断しておりもっと高いレイヤーで捉えないと解けないものもある。後者の場合、アジェンダを経営に上げていく必要がある。上をどう説得して、他の部署をどう巻き込むか。 

でも、その視座がないと「自分たちの管掌範囲はここなので、そこだけうまくやりたいんです」という話になってしまう。それではクライアント側の個別最適で終わってしまうし、本当に解決したいのはそこじゃないはずだと考えています。そして個別最適で終わると、私たちが持っている士業グループというアセットも活かしきれない。 

そこをきちんと経営レイヤーまで上げていけるかどうかが、難所です。 

一緒に働く仲間へ 

――求人票には「法務・税務・労務・知財の専門知識は不要」とあります。実際のところ、どうですか。 

本当に不要です。私自身、法務出身ではありません。 

SIerでシステム開発と業務プロセスの再構築をやって、外資のコンサルティングファームを経て、電通グループで新規事業開発の支援をやっていました。法務の専門家として入ってきたわけではありません。 

専門知識そのものは、グループの中に揃っています。私たちに必要なのは、それを経営の文脈につなぎ直せる人です。事業を理解していて、プロジェクトを回せる。そこがあれば、専門性は後から組み合わせられると考えています。 

――どんな方と働きたいですか。 

大事にしたい考え方が、私たちには4つあります。 

Authentic Sense(鋭敏な感性を) 
Stay Positive(ポジティブに) 
Be Honest(誠実に) 
Never Give Up(強い意志を) 

このマインドセットが揃っている方であれば、間違いないと思っています。 

――特にどれが効いてきますか。 

現在のフェーズでは ”Never Give Up” ですね。 

事業がうまく進まないこともあるし、クライアントのニーズが高く、今の自分たちには無理だ、と思う場面も出てくると思います。でも、無理だと決めてしまうと、本当に無理になる。そんな中でも、じゃあ何ができるかなと考えて、粘り強く頑張れる人。 

もうひとつ挙げるなら、専門家の方々と気持ちよく組める人です。ここでハレーションを起こしてしまうと価値創出は難しくなると思います。コミュニケーション能力があって、素直に「すみません、それ教えてください」と聞ける。そういう人のほうが、この環境では圧倒的に強いと思いますね。 

――最後に、メッセージをお願いします。 

今、当社は経営基盤という領域まで広げていく段階にいます。士業というグループの武器も使いながら、経営基盤の整備による価値を社会に届ける。これをやっている会社は、たぶん他にありません。 

まだ何もかもが整っているわけではないし、環境も適宜変化しています。でも、何もない状態から創っていく手触りは楽しいと感じています。 
創造力と情熱を持って、一緒に未来を切り拓く仲間をお待ちしています。 

When Legal Innovation Leads, Japan Shines Brighter. When Legal Innovation Leads, Japan Shines Brighter.